2024年6月25日火曜日

子どもと校長との距離

 教員駆け出しの頃,社会科を上手に教えられる教師を目指し,東京の研究会に所属し,月1のペースで上京していました。研究会場は決まって,都内の公立小学校でした。ある時,全国小学校社会科教育研究会会長の校長先生が学校長を務められる,千代田区立番長小学校が会場となり,足を運びました。明治5年の学制発布以前に創設された古い歴史を持つ学校で,式典には皇室関係者がおいでになる「天下の番長小学校」,「公立小御三家」等と言われることもあると承知していたので,どんな学校かとても興味深くお伺いしたことを覚えています。そんな中で,強烈に記憶に残っていることが1つだけ有ります。それは,「天下の番長小学校」の校長室の入口,廊下側に1枚の模造紙が貼られ,そこに「なぜ,冬になると日本海側には大雪が降るのか?」という問題と,その下に図入りで解説が記されていたことです。作者は,当時の校長先生であり,全国小学校社会科教育研究会会長,社会科の授業をさせたら右に出る者はいないと評された新見謙太先生でした。「天下の番長小学校の校長先生」にまで上り詰めた方が,いつまでも「いち教師」という気持ちを大切になされ,更に,学習をとおして子どもに寄り添い続けられる。時間を見つけて子どもたちと会話をしたり,遊んだりなさる方もいらっしゃいますし,それはそれで立派だと思いますが,学習をとおして子どもたちといつまでも繋がろうとするその姿勢に,駆け出しの教員でしたが深く感銘を受けたことを昨日のことのように思い出します。新見先生には遠く及びませんが,私も校長としてかくありたいと,常に願っています。そんな中,過日,校内研究会で,家庭学習の「自学」がテーマとなりました。先生から出される課題では無く,自分で行う「自主学習」。先生方は,宿題とは・・・と言う視点で「正論」をはかれます。しかし,本来,勉強嫌いな私は「とにかく,子どもたちにとって楽しいもの」「集中できるもの」,「えっ,これでもいいの」と思えるものでなければ子どもは「自学」などしないと,考えています。子どもたちへの「自学のススメ」は,まずは教師側の「宿題の概念こわし」とも,考えています。故に,本校では,習い事(スポ少も)自学としているのです。めざせ「天才,博士ちゃん」なのです。そんなこともあり,過日のお昼の放送で,梅雨に入ったことを伝えつつ,「雨という漢字のつく漢字を調べてみて」,「今日のデザートはグレープフルーツだけど,なぜグレープ(葡萄)っていうの?」と,自学のお題を提供してみました。すると,どうでしょう。私の話に興味をもって,自学で調べてきてくれた子が3人もいたのです。私の話をしっかりと聞いていてくれたことも嬉しかったですが,子どもたちとの距離がここまで近づけていることを確認できたことも,とても嬉しかったです。小佐野ゆいなさん,高田ゆいさん,伊藤そうさん。素晴らしい!そして有難う!!(担任の土屋先生の,花丸のついた自学ノートを手に)